2022/04/05 『I・Bまちづくりvol.46』に岡本成史弁護士の執筆記事が掲載されました。
㈱データ・マックス発刊の『I・Bまちづくりvol.46』の「建設・不動産業界 法律相談 弁護士が語る知っておきたいトラブル予防」のコーナーに,「個人情報保護法の改正」という記事が掲載されています。
改正個人情報保護法が、2022年4月から施行されます。今回の改正のポイントは、次の6つです。
① 個人本人の請求権が拡充
② 漏えい時の報告義務など事業者の責務が追加
③ 企業の特定分野を対象とする団体の認定団体の制度化
④ 新たな情報類型の創設(仮名加工情報・個人関連情報)によるデータの利活用の促進
⑤ 法令違反に対するペナルティの強化
⑥ 外国事業者に対する、報告徴収・立入検査などの罰則の追加
内容が多岐にわたりますので、今回は①「個人本人の請求権の拡充」について解説します。
(1)利用停止・消去等請求の要件の緩和
本人が、個人情報取扱事業者に対して「保有個人データ」の利用停止・消去を請求できるのは、「個人情報を目的外利用したとき」と「不正の手段により個人情報を取得したとき」に限られており、また第三者の提供の停止請求ができるのは、「本人の同意なく第三者提供した場合」と「本人の同意なく外国にある第三者に提供した場合」に限られていました。
今回の改正では、これに加えて「事業者が、保有個人データを利用する必要がなくなったとき」「保有個人データの重大な漏えいなどが生じたとき」「保有個人データの取扱いにより、本人の権利または正当な利益が害される恐れがあるとき」にも、利用停止・消去・第三者提供の停止を請求できるようになりました。
(2) 開示方法の指示
本人は、事業者に対して、保有個人データの開示請求ができますが、従前は原則として、「書面の交付による」とされていました。しかし、情報量が膨大であったり、動画や音声データのように、そもそも書面による交付に適さないデータもあることから、電磁的記録の提供など、本人が方法を指示できるようになり、事業者は指示された方法により開示する義務を負うことになりました。
(3) 第三者提供記録の開示請求
事業者は、個人データを第三者に提供する際と、個人データの第三者提供を受ける際に記録を作成する必要がありましたが、本人はこの第三者提供記録の開示請求はできませんでした。改正により、本人が第三者提供記録についても開示請求できるようになりました。
(4) 短期保存データの開示等請求
6カ月以内に消去する短期保存データについては、従前は保有個人データに含まれないとされていました。ですが、短期間で消去されるデータでも、漏えいなどが発生すれば瞬時に拡散し、本人によっては修復困難な損害が生じる可能性もあることから、改正法では保有個人データに含めることとなりました。これによって事業者は、短期保有データについても、開示義務・訂正義務・利用停止に応じる義務を負うことになります。もっとも、プライバシーマークの審査基準において、6カ月以内に削除されるデータも開示請求などに対応することが定められていますので、従前からこの基準を遵守している場合は、改正による影響はあまりないと思われます。
『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
なお,執筆した記事の内容は㈱データ・マックスのサイトにも掲載されています。
https://www.data-max.co.jp/article/46823
改正個人情報保護法が、2022年4月から施行されます。今回の改正のポイントは、次の6つです。
① 個人本人の請求権が拡充
② 漏えい時の報告義務など事業者の責務が追加
③ 企業の特定分野を対象とする団体の認定団体の制度化
④ 新たな情報類型の創設(仮名加工情報・個人関連情報)によるデータの利活用の促進
⑤ 法令違反に対するペナルティの強化
⑥ 外国事業者に対する、報告徴収・立入検査などの罰則の追加
内容が多岐にわたりますので、今回は①「個人本人の請求権の拡充」について解説します。
(1)利用停止・消去等請求の要件の緩和
本人が、個人情報取扱事業者に対して「保有個人データ」の利用停止・消去を請求できるのは、「個人情報を目的外利用したとき」と「不正の手段により個人情報を取得したとき」に限られており、また第三者の提供の停止請求ができるのは、「本人の同意なく第三者提供した場合」と「本人の同意なく外国にある第三者に提供した場合」に限られていました。
今回の改正では、これに加えて「事業者が、保有個人データを利用する必要がなくなったとき」「保有個人データの重大な漏えいなどが生じたとき」「保有個人データの取扱いにより、本人の権利または正当な利益が害される恐れがあるとき」にも、利用停止・消去・第三者提供の停止を請求できるようになりました。
(2) 開示方法の指示
本人は、事業者に対して、保有個人データの開示請求ができますが、従前は原則として、「書面の交付による」とされていました。しかし、情報量が膨大であったり、動画や音声データのように、そもそも書面による交付に適さないデータもあることから、電磁的記録の提供など、本人が方法を指示できるようになり、事業者は指示された方法により開示する義務を負うことになりました。
(3) 第三者提供記録の開示請求
事業者は、個人データを第三者に提供する際と、個人データの第三者提供を受ける際に記録を作成する必要がありましたが、本人はこの第三者提供記録の開示請求はできませんでした。改正により、本人が第三者提供記録についても開示請求できるようになりました。
(4) 短期保存データの開示等請求
6カ月以内に消去する短期保存データについては、従前は保有個人データに含まれないとされていました。ですが、短期間で消去されるデータでも、漏えいなどが発生すれば瞬時に拡散し、本人によっては修復困難な損害が生じる可能性もあることから、改正法では保有個人データに含めることとなりました。これによって事業者は、短期保有データについても、開示義務・訂正義務・利用停止に応じる義務を負うことになります。もっとも、プライバシーマークの審査基準において、6カ月以内に削除されるデータも開示請求などに対応することが定められていますので、従前からこの基準を遵守している場合は、改正による影響はあまりないと思われます。
『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
なお,執筆した記事の内容は㈱データ・マックスのサイトにも掲載されています。
https://www.data-max.co.jp/article/46823