2022/03/05 『I・Bまちづくりvol.45』に岡本成史弁護士の執筆記事が掲載されました。

 ㈱データ・マックス発刊の『I・Bまちづくりvol.45』の「建設・不動産業界 法律相談 弁護士が語る知っておきたいトラブル予防」のコーナーに,「育児・介護休業法改正のポイント」という記事が掲載されています。 

   2022年4月1日より段階的に、育児・介護休業に関する新しい制度が導入されます。まずは、現在の産休と育休について確認しておきましょう。

 産休は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から請求すれば取得できる「産前休業」と、出産の翌日から8週間は就業できないとされている「産後休業」とからなります。なお、産後6週間を過ぎた後、本人が請求し、医師が認めた場合は就業できます。

 一方の育休(育児休業)は、1歳に満たない子どもを養育する男女労働者(ただし、取得できる方の要件が決まっていますので、誰でも取得できるわけではありません)が、会社に申し出ることにより、子どもが1歳(保育所に入所できない等の一定の要件に該当すれば、最長2歳)になるまでの間で希望する期間、育児のために休業できる制度です。

 新たな制度では、男性が、子の出生後8週間以内に4週間まで「出生時育児休業」を取得可能になります。女性の産後休業の時期と同じ時期になりますので、「男性版産休制度」などといわれることもあります。現行制度が、原則休業の1カ月前までに申し出が必要であるのに対し、男性版産休では、原則2週間前までと短縮されているほか、2回に分割して取得できます。また、労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整したうえで休業中に就業することを可能としています。

 また、男性版産休と現行の育休とを合わせて利用することも可能になるとともに、現行の育休についても、分割して2回まで取得可能となります。そのため、男性版産休で2回まで分割して休業を取得し、子どもが1歳までの期間に現行の育休制度で2回分割して取得するという利用もできます。

 その他、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件が緩和され、現行制度では、①「引き続き雇用された期間が1年以上」、②「1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでないこと」が要件であるところ、①の要件が廃止されます。ただし、労使協定を締結すれば、引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することも可能ですので、有期雇用労働者の休業の扱いについては、各社で検討しておきましょう。

  事業者としては、労働者本人または配偶者が妊娠・出産を申し出た場合には、育児休業制度などについて、①面談、②書面交付、③FAX、④電子メールなどで個別の周知・意向確認の措置をとらなければいけません。また、研修の実施、相談窓口設置等の措置を講じることで、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備をすることが必要になります。雇用環境整備、個別周知・意向確認に活用できる社内研修用資料、動画、周知ポスター例などが厚労省のサイトに掲載されていますので、ご活用ください。
 

 『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
 
 なお,執筆した記事の内容は㈱データ・マックスのサイトにも掲載されています。
   https://www.data-max.co.jp/article/46404
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