2021/12/05 『I・Bまちづくりvol.42』に岡本成史弁護士の執筆記事が掲載されました。

 ㈱データ・マックス発刊の『I・Bまちづくりvol.42』の「建設・不動産業界 法律相談 弁護士が語る知っておきたいトラブル予防」のコーナーに,「2020年建設業法改正のポイント」という記事が掲載されています。
 
 2020年建設業法改正のポイントは、①「建設業の働き方改革の促進」、②「建設現場の生産性の向上」、③「持続可能な事業環境の確保」ですが、①②について解説しています。

1.働き方改革の促進
  働き方改革関連法の一環として、昨年4月から中小企業でも、「原則月45時間以内かつ年間360時間以内」という時間外労働の上限規制が適用されていますが、適用が猶予されている建設事業についても、24年4月から上限規制が適用されることになります。しかし、建設業では、長時間労働が常態化していることから、その是正が急務となっています。

 (1)長時間労働の是正(工期の適正化等)
   工期の適正化等を通じて、長時間労働を是正するために、通常必要と認められる期間に比べて「著しく短い工期」による請負契約の締結が禁止され、違反者には国土交通大臣などから勧告などがされることになりました。「著しく短い工期」を判断する基準として、20年7月に、中央建設業審議会が工期に関する基準を作成しています。
   また、注文者は工期や請負代金に影響をおよぼす事象(地盤沈下、地下埋設物による土壌の汚染や騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象)があるときは、請負契約締結までに建設業者に情報提供をするよう義務付けられました。
   さらに、建設業者は見積もり時に、工程についての詳細や作業、準備に必要と見込まれる日数などについて、できる限り詳細を明記するよう努めなければなりません。

 (2)現場の処遇改善
   下請の建設企業も含めて社会保険加入を徹底するため、建設業許可の基準を見直し、社会保険に未加入の建設業者については、建設業の許可・更新を認めないことになりました。
   また、下請労働者の処遇を改善するために、下請代金のうち、労務費相当分については現金払い(振込や小切手も可)することとなりました。

2.建設現場の生産性の向上
  現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化するなか、限りある人材の有効活用と若者の入職促進による将来の担い手の確保が、急務になっています。
  そこで、一定規模以上の工事については、工事現場ごとに監理技術者の専任が必要でしたが、監理技術者補佐(技士補)を専任で置いた場合は、元請の監理技術者の複数現場の兼任が可能となることになりました。
  また、下請の主任技術者に関し、一定未満の工事金額等の要件を満たす場合は設置が不要になります。

 以上の通り、改正法を受けて、社会保険への加入や、元請では労務費の現金払いなどにも、対応が必要となります。また、短すぎる工期での受発注とならないよう、契約や見積書類作成時のチェックも必要になります。


 『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
 
 なお,執筆した記事の内容は㈱データ・マックスのサイトにも掲載されています。
   https://www.data-max.co.jp/article/45043
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