2020/12/15 『I・Bまちづくりvol.30』に岡本成史弁護士の執筆記事が掲載されました。

 ㈱データ・マックス発刊の『I・Bまちづくりvol.30』の「建設・不動産業界 法律相談 弁護士が語る知っておきたいトラブル予防」のコーナーに,「テレワーク導入に際して留意すべきこと」という記事が掲載されています。
 

 テレワーク導入のためには、まずは導入目的を明確化する必要がありますし、対象業務や対象者の範囲をどうするのか――といった基本方針やルールを作成していく必要もあります。 在宅での勤務であっても、当然ながら労働基準関係法令が適用されることになりますので、テレワークを導入する場合のルールとして、就業規則にテレワーク勤務に関する規定を置くことが必要です(なお、就業規則の作成・届出義務がない会社では、労使協定や労働条件通知書に記載することが必要です)。

 たとえば、テレワーク勤務について、就業規則に次のことを定めることが必要です。
 ・ 在宅勤務を命じることに関する規定
 ・ 在宅勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関する規定
 ・ 通信費などの負担に関する規定

 使用者は、労働者の労働時間について適正に把握する責務を有していますが、テレワーク実施にあたっては、「労働時間の管理が難しい」ことが課題として挙げられます。労働時間の管理には、(1)「始業・終業時刻の管理」と(2)「業務時間中の在席確認」の2つの観点があります。従業員の始業・終業時刻を管理するため、始業・終業時刻の報告や記録の方法(メール連絡、勤怠管理ツールの利用など)をあらかじめ決めておく必要があります。

また、在宅勤務などに特有の事象として、労働者が業務から離れる時間(いわゆる中抜け時間)が生じやすいことが考えられます。中抜け時間について、使用者が業務の指示をせず、労働者が労働から離れ、自由に利用することが保障されている場合には、(1)「開始と終了の時間を報告させるなどにより、休憩時間として扱い、労働者のニーズに応じ、始業時刻を繰り上げる、または終業時刻を繰り下げること(就業規則の定めが必要)」や(2)「休憩時間ではなく時間単位の年次有給休暇として取り扱う(労使協定の締結が必要)」ことも可能です。

 このようにテレワークの導入は、柔軟な対応で、仕事と生活の調和をより図れるなどのメリットもありますが、これまでの就労環境とは異なってきますので、労務管理もこれまでとは異なる各種の対応が必要になってきます。


 『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
 
 なお,執筆した記事の内容は㈱データ・マックスのサイトにも掲載されています。
   https://www.data-max.co.jp/article/39040
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