2022/09/01 『I・Bまちづくりvol.51』に岡本成史弁護士執筆の「アルコールチェックの義務化」の記事が掲載されました。

 ㈱データ・マックス発刊の『I・Bまちづくりvol.51』の「建設・不動産業界 法律相談 弁護士が語る知っておきたいトラブル予防」のコーナーに,「アルコールチェックの義務化」という記事が掲載されています。

  
   改正道路交通法施行規則により、一定の事業者について運転者のアルコールチェックが義務化されます。
 一定台数以上の自動車を使用する事業所において、自動車の安全な運転に必要な業務(交通安全教育、運転者の適性等の把握、運行計画の作成など)を行う「安全運転管理者」を選任し、事業所を管轄する警察署に届け出る必要があります。今年4月1日から適用対象事業者の範囲が拡大し、①乗車定員11人以上の自家用自動車(白ナンバー)を1台以上使用している事業所、②乗車定員10人以下の自家用自動車を5台以上(自動二輪車〔50㏄を超えるもの〕は0.5台として換算)使用している事業所において、安全運転管理者の選任が必要となりました。また、自家用自動車を20台以上使用している場合は、20台ごとに副安全運転管理者をさらに選任する必要があります。
 また、今回の改正により、安全運転管理者の業務として、運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)の業務が拡充されました。従来から事業用自動車(緑ナンバー)の運転者についてはアルコールチェックが義務付けられていましたが、今回の改正により、自家用自動車の運転者についても、新たにアルコールチェックが義務付けられたことになります。
 安全運転管理者は、令和4年4月1日からは、運転者のアルコールチェックを目視で確認(顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などを五感の作用を用いて確認)することや、酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存することが義務付けられています。さらに、10月1日からは、目視に加えてアルコール検知器による酒気帯び確認も義務付けられ、またアルコール検知器を常時有効に保持することが義務付けられる予定です。
 アルコールチェックは、運転業務の開始前と運転業務の終了後の2回実施することが必要です。運転者が出張先から直行直帰して対面で確認できない場合には、たとえば、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどしたうえで、カメラ・モニターなどによって、安全運転管理者が運転者の顔色・応答の声の調子などを確認するとともに、運転者が自ら行ったアルコール検知器による測定の結果を確認するなどの、対面の確認と同視できるような対応が必要です。メールやチャットなどで報告させるのみですと、五感の作用により確認することができませんので、不可となります。
    酒気帯びの有無の確認を行うのは安全運転管理者となりますが、安全運転管理者の不在時など、安全運転管理者による確認が困難である場合には、副安全運転管理者または安全運転管理者の業務を補助する者に、酒気帯び確認を行わせることは差し支えないとされています。ただし、安全運転管理者と運転者の就業時間が異なることで、安全運転管理者による確認ができないことが常態化してしまうのは問題です。誰が安全運転管理者として適任なのかという点から、見直しを図る必要があります。
 以上の通り、要件に該当する事業所は、①安全運転管理者・副安全運転管理者を選任すること、②アルコール検知器を準備すること、③アルコールチェックの記録の作成・保管体制を整備すること、が必要になります。
 
 『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
 なお,執筆した記事の内容は㈱データ・マックスのサイトにも掲載されています。
   https://www.data-max.co.jp/article/49146
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