2022/07/07 『I・Bまちづくりvol.49』に岡本成史弁護士の執筆記事が掲載されました。

 ㈱データ・マックス発刊の『I・Bまちづくりvol.49』の「建設・不動産業界 法律相談 弁護士が語る知っておきたいトラブル予防」のコーナーに,「23年10月、インボイス制度が開始」という記事が掲載されています。

  
    2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として「インボイス制度」が開始されます。
 以前は、取引が消費税の課税取引に該当すれば、買手は、売手が課税事業者・免税事業者にかかわらず、消費税を含む請求額を仕入税額控除の対象として取り扱ってきました。19年の消費税改正によって複数税率となって以降は、軽減税率の対象品目の売上・仕入を区分して請求書を発行したり帳簿に記帳したりする「区分経理」が必要になり、仕入税額控除の適用を受けるためには、区分経理に対応した帳簿や区分記載請求書等の保存が必要となりました(区分記載請求書等保存方式)。
 そして、23年10月以降は、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入され、適格請求書の記載事項が記載されている適格請求書、適格簡易請求書、仕入明細書などの書類のみが仕入税額控除の対象となります。
 適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対し、正確な適用税率や消費税額などを伝えるもので、現行の「区分記載請求書」の記載事項(請求書発行者の氏名・名称、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、税率ごとに区分して合計した税込対価の額、請求書受領者の氏名・名称)に加えて、「登録番号」「適用税率」および「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
 適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。適用が始まる23年10月1日から適格請求書発行事業者となるためには、同年3月31日までに申請を終えておかなければなりません。
 インボイス制度が始まりますと、売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません。従って、適格請求書発行事業者に登録するとともに、自社で独自に請求書などを作成しておられる場合は、適格請求書の記載事項に合わせて変更しなければなりません。
 なお、登録が承認されると課税売上高が1,000万円以下の免税事業者でも消費税の申告が必要になりますので、免税事業者は登録されるかを、慎重に検討することが望ましいでしょう。
   また、買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存などが必要となります。帳簿の記載内容は、現在の区分請求書等保存方式と同じですので、とくに問題ないとは思います。ただし、前述の通りインボイス制度では、免税事業者や適格請求書発行事業者以外から行った仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることができません。従って、まずは取引先が登録事業者か否かを確認するとともに、適切に区分経理を行うには、適格請求書類と免税事業者からの請求書などの適格請求書ではない請求書類を、区分して管理する必要があります。
 『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
     
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