2021/04/15 『I・Bまちづくりvol.34』に岡本成史弁護士の執筆記事が掲載されました。

 ㈱データ・マックス発刊の『I・Bまちづくりvol.34』の「建設・不動産業界 法律相談 弁護士が語る知っておきたいトラブル予防」のコーナーに,「自然災害債務整理ガイドラインのコロナ特則」という記事が掲載されています。
 

 新型コロナウイルスの影響による勤務先の廃業や人員整理によって職を失ったり、勤務時間の減少で収入が減少したことによって、経済的に苦境に立たされている方も増えています。20年12月1日から、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(以下、GL)を新型コロナウイルス感染症の影響を受けた個人債務者に適用するための特則が公表されました。

 GLに従って債権者との合意に基づき債務整理を行うメリットは、(1)「信用情報として登録されないため、今後の新たな借入れに影響がおよばないこと」、(2)「国の補助により弁護士等の『登録支援専門家』が無料で手続を支援してくれること」、(3)「原則として保証人に対し、保証履行を求められないこと、(4)「破産よりも多くの財産を残せる可能性があること」などが挙げられます。

 GL特則を活用できる対象債務は、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として指定された20年2月1日(基準日)以前に負担していた既往債務と、同月2日から特則が制定された同年10月30日までに、新型コロナウイルス感染症の影響による収入や売上等の減少に対応することを主な目的として貸付けなどを受けたことに起因する債務に限られ、個人である債務者のみが活用できます(法人は利用できません)。

 また、(1)コロナの影響で基準日以前の収入・売上等が減少し、返済が困難になったこと(会社員・会社役員なら原則税込年収730万円未満〔パート以外の配偶者等の年収を加算〕であることや、住宅ローンがある場合は、住宅ローンの年間返済合計額が年収の4割以上〔例外あり〕であることも必要)、(2)基準日以前に期限の利益喪失事由がないこと、(3)債務超過(自由財産を除く資産の総額<負債)、(4)破産手続等の法的手続と同等額以上の回収を得られる見込みがあること、(5)個人事業者で事業を継続する(事業用資産を残す)場合、将来の継続した収益の見込みがあること、(6)反社会的勢力でないこと、(7)破産法で規定する免責不許可事由がないこと、などの要件を満たす必要があります。

 手続きとしては、ローンの免除や減額等の内容を盛り込んだ「調停条項案」を作成し、金融機関に説明して同意を取り付けたうえで、裁判所の特定調停手続において調停条項を確定させるということが必要になります。専門的な知識が必要になりますが、ご自身ですべて対応しなければならないわけではなく、無料で登録支援専門家の支援を受けることができますので、お困りの際は、とりあえず相談されることをお薦めします。なお、GLによる債務整理を希望する場合は、まずはローンの借入先の金融機関にお問い合わせください。
 


 『I・Bまちづくり』は,九州の建設・不動産業界に焦点を当てた情報誌であり,九州で注目の再開発や熊本の復興状況、地方の魅力あるエリア、注目サービスや注目企業を取り上げています。
 
 なお,執筆した記事の内容は㈱データ・マックスのサイトにも掲載されています。
   https://www.data-max.co.jp/article/41113
pagetop